警告・禁忌、効能又は効果、用法及び用量
1. 警告
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
4. 効能又は効果
再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病
5. 効能又は効果に関連する注意
臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、臨床成績の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
[17.臨床成績の項参照]
6. 用法及び用量
通常、ブリナツモマブ(遺伝子組換え)として以下の投与量を28日間持続点滴静注した後、14日間休薬する。これを1サイクルとし、最大5サイクル繰り返す。その後、ブリナツモマブ(遺伝子組換え)として以下の投与量を28日間持続点滴静注した後、56日間休薬する。これを1サイクルとし、最大4サイクル繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
- 体重が45kg以上の場合:
1サイクル目の1~7日目は1日9μg、それ以降は1日28μgとする。 - 体重が45kg未満の場合:
1サイクル目の1~7日目は1日5μg/m2(体表面積)、それ以降は1日15μg/m2(体表面積)とする。ただし、体重が45kg以上の場合の投与量を超えないこと。
7. 用法及び用量に関連する注意
副作用 | グレード注) | 体重45kg以上の患者 | 体重45kg未満の患者 |
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サイトカイン 放出症候群(CRS) |
成人の場合:3 小児の場合:2又は3 |
回復するまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日9μgから開始し、CRSの所見が再度認められなかった場合には、8日目以降に1日28μgに増量できる。 | 回復するまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日5μg/m2(体表面積)から開始し、CRSの所見が再度認められなかった場合には、8日目以降に1日15μg/m2(体表面積)に増量できる。 |
4 | 投与を中止すること。 | ||
神経学的事象 | 痙攣発作 | 痙攣発作が2回以上発現した場合には投与を中止すること。 | |
成人の場合:3 小児の場合:2又は3 |
グレード1以下が3日間継続するまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日9μgで投与し、増量しないこと。 1日9μgで投与中にグレード3以上の神経学的事象が発現した場合、又は回復までに8日間以上要した場合には投与を中止すること。 |
グレード1以下が3日間継続するまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日5μg/m2(体表面積)で投与し、増量しないこと。 1日5μg/m2(体表面積)で投与中にグレード3以上の神経学的事象が発現した場合、又は回復までに8日間以上要した場合には投与を中止すること。 |
|
4 | 投与を中止すること。 | ||
その他の副作用 | 3 | グレード1以下になるまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日9μgから開始し、副作用が再度認められなかった場合には、8日目以降に1日28μgに増量できる。 | グレード1以下になるまで投与を中断すること。投与再開する場合は、1日5μg/m2(体表面積)から開始し、副作用が再度認められなかった場合には、8日目以降に1日15μg/m2 (体表面積)に増量できる。 |
4 | 投与を中止すること。 |
注)グレードはNCI-CTCAEに準じる。
7.3 本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
安全性
再発又は難治性のB細胞性ALLを対象とした国内第Ⅰb/Ⅱ相臨床試験(Horai試験)に参加した日本人患者のうち、本剤の投与を受けた18歳以上の患者26例中26例(100.0%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められ、主な副作用は、サイトカイン放出症候群12例(46.2%)、発熱12例(46.2%)、好中球減少10例(38.5%)及び血小板減少9例(34.6%)であった。また、同試験にて本剤の投与を受けた18歳未満の患者においては9例中8例(88.9%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められ、主な副作用は、肝酵素上昇6例(66.7%)、発熱6例(66.7%)、サイトカイン放出症候群5例(55.6%)及び腹痛4例(44.4%)であった。(承認時)
18歳以上の再発又は難治性のPh陰性B細胞性ALLを対象とした海外第Ⅲ相比較対照臨床試験(TOWER試験)において本剤の投与を受けた267例中214例(80.1%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は、発熱104例(39.0%)、好中球減少39例(14.6%)、サイトカイン放出症候群36例(13.5%)、発熱性好中球減少症29例(10.9%)、頭痛27例(10.1%)、肝酵素上昇27例(10.1%)及び血小板減少27例(10.1%)であった。(承認時)
18歳以上の再発又は難治性のPh陽性B細胞性ALLを対象とした海外第Ⅱ相臨床試験(Alcantara試験)において本剤の投与を受けた45例中41例(91.1%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は、発熱21例(46.7%)、発熱性好中球減少症11例(24.4%)、貧血6例(13.3%)、頭痛5例(11.1%)及び肝酵素上昇5例(11.1%)であった。(承認時)
18歳未満の再発又は難治性のB細胞性ALLを対象とした海外第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(MT103-205試験)において本剤の投与を受けた93例中80例(86.0%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は、発熱61例(65.6%)、貧血18例(19.4%)、サイトカイン放出症候群15例(16.1%)、肝酵素上昇15例(16.1%)、血小板減少15例(16.1%)、白血球減少14例(15.1%)、好中球減少14例(15.1%)及び頭痛11例(11.8%)であった。(承認時)