監修

独立行政法人 国立病院機構 名古屋医療センター 臨床研究センター 上席研究員

堀部 敬三 先生

金沢大学 医薬保健学域医学類 血液内科学 教授

宮本 敏浩 先生

監修者の所属・役職は2025年4月時点の情報です

ビーリンサイトによる治療の流れ

ビーリンサイトは、「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病」を対象とした点滴静注薬です。
本マニュアルでは、ビーリンサイトの調製・投与について手順を解説するとともに、留意点をご紹介しています。

ステップ1 投与サイクルの決定

本剤は主治医の判断により投与されます。
1サイクル目:28日間の持続点滴静注(1~7日目は低用量)+14日間の休薬
2~5サイクル目:28日間の持続点滴静注+14日間の休薬
6~9サイクル目:28日間の持続点滴静注+56日間の休薬

ステップ2 投与スケジュールの決定

持続点滴静注のためのビーリンサイト輸液バッグは、交換頻度に応じて24時間用、48時間用、72時間用、96時間用 の4種類の投与時間用に調製することが可能です。 注入速度はそれぞれの投与時間に合わせた速度に設定します。
投与スケジュールに合わせてビーリンサイト輸液バッグの調製を行います。

ステップ3 ビーリンサイト溶解液の注入量の決定

体重、用量、投与時間により、調製済みビーリンサイト溶解液の注入量が異なります。

※副作用により中断した後の再開時用量については「主な副作用と対処」をご参照ください。

ステップ4 デキサメタゾンによる前治療および前投与

神経学的事象、サイトカイン放出症候群、および腫瘍崩壊症候群の発現を軽減するため、骨髄中の白血病性芽球の割合が50%超、または末梢血中の白血病性芽球数が15,000/μL以上の場合には、デキサメタゾンによる前治療の実施を検討してください。
また、サイトカイン放出症候群の発現を軽減するため、すべての患者にデキサメタゾンによる前投与を行ってください。

ステップ5 投与開始

本剤の投与に必要な器具を用意してからビーリンサイト輸液バッグを調製し、投与を開始します。

ビーリンサイトによる治療の概要

投与量と投与サイクル

合計28日間の持続点滴静注と14日間の休薬を1サイクルとし、寛解導入療法として2サイクル、地固め療法として最大3サイクルまで投与できます。その後、28日間の持続点滴静注と56日間の休薬を1サイクルとし、最大4サイクルまで投与できます。

※1:1 日 9μg を超える場合は、1 日 9μg とする。
※2:1 日 28μg を超える場合は、1 日 28μg とする。

デキサメタゾンによる前治療および前投与

前治療

神経学的事象、サイトカイン放出症候群、および腫瘍崩壊症候群の発現を軽減するため、骨髄中の白血病性芽球の割合が50%超、または末梢血中の白血病性芽球数が15,000/μL以上の場合には、デキサメタゾンによる前治療の実施を検討してください。

図_デキサメタゾンによる前治療

[参考]海外第Ⅲ相比較対照臨床試験(00103311試験)および国内第Ⅰb/Ⅱ相臨床試験(20130265試験)におけるデキサメタゾン※3の投与方法

前投与

サイトカイン放出症候群の発現を軽減するため、すべての患者にデキサメタゾンによる前投与を行ってください。

[参考]海外第Ⅲ相比較対照臨床試験(00103311試験)および国内第Ⅰb/Ⅱ相臨床試験(20130265試験)におけるデキサメタゾン※3の投与方法

ビーリンサイトの投与中断後、投与を再開する場合も同様の前投与を実施。
再発又は難治性のB細胞性ALLを対象とした国内第Ⅰb/Ⅱ相臨床試験(Horai試験)に参加した日本人患者のうち、本剤の投与を受けた18歳以上の患者26例中26例(100.0%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められ、主な副作用は、サイトカイン放出症候群12例(46.2%)、発熱12例(46.2%)、好中球減少10例(38.5%)及び血小板減少9例(34.6%)であった。また、同試験にて本剤の投与を受けた18歳未満の患者においては9例中8例(88.9%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められ、主な副作用は、肝酵素上昇6例(66.7%)、発熱6例(66.7%)、サイトカイン放出症候群5例(55.6%)及び腹痛4例(44.4%)であった。(承認時)
18 歳以上の再発又は難治性のPh陰性B細胞性ALLを対象とした海外第Ⅲ相比較対照臨床試験(TOWER試験)において本剤の投与を受けた267例中214例(80.1%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は、発熱104例(39.0%)、好中球減少39例(14.6%)、サイトカイン放出症候群36例(13.5%)、発熱性好中球減少症29例(10.9%)、頭痛27例(10.1%)、肝酵素上昇27例(10.1%)及び血小板減少27例(10.1%)であった。(承認時)
18 歳以上の再発又は難治性のPh陽性B細胞性ALLを対象とした海外第Ⅱ相臨床試験(Alcantara試験)において本剤の投与を受けた45例中41例(91.1%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は、発熱21例(46.7%)、発熱性好中球減少症11例(24.4%)、貧血6例(13.3%)、頭痛5例(11.1%)及び肝酵素上昇5例(11.1%)であった。(承認時)
18 歳未満の再発又は難治性のB細胞性ALLを対象とした海外第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(MT103-205試験)において本剤の投与を受けた93例中80例(86.0%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は、発熱61例(65.6%)、貧血18例(19.4%)、サイトカイン放出症候群15例(16.1%)、肝酵素上昇15例(16.1%)、血小板減少15例(16.1%)、白血球減少14例(15.1%)、好中球減少14例(15.1%)及び頭痛11例(11.8%)であった。(承認時)

※3:静脈内投与の場合はデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとして、経口投与の場合はデキサメタゾンとしての用量。
※4:投与に際しては、デキサメタゾンの電子添文を熟読してください。
※5:必要と判断した場合は1日最大量を24mgとする。

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ビーリンサイト®点滴静注用35μgによる治療を受ける患者さんへ

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